<概要>
明治中期から昭和初期まで天賦の才を存分に発揮させ、近代造園のパイオニアとして活躍した七代目小川治兵衛の世界を三回の連載にわたって探っていく。初回の《上》は、住宅庭園へ初めて琵琶湖疎水を引いたデビュー作でもある《並河靖之七宝記念館》の庭を掲載。解説は、日本を代表する日本庭園の研究者で知られ、日本庭園・歴史遺産研究センター所長と文化庁文化審議会専門委員を務める京都造形芸術大学教授の尼?博正氏が健筆を奮う。また、明治末期に出版された古書から往時の庭の写真も掲載。
<目次>
日本の庭 巡礼 京都が生んだ近代造園の祖 写真=信原 修
植治七代目 小川治兵衛の世界《上》
並河靖之七宝記念館の庭・・・七代目小川治兵衛のデビュー作
近代日本の作庭を拓いたパイオニア
水と建物を親密に結ぶ・・・・・琵琶湖疎水を引いた着想
明治中期の水の庭・・・・・豊かな水で賓客をもてなす
水に浮く御殿・・・・・三十五歳にしてこの才覚
水を身近に引いた潔さ・・・・・小川治兵衛の水への思いとは
素材を見分ける利き目・・・・・一文字を彫った縁先の手水鉢
近代庭園の黎明 解 説=尼崎博正
現代の庭を創る
作庭家 高橋良仁 偶然ではない必然性 写真=信原 修
和らいだ光を感じる外部空間
直線と曲線を使い分けた「間」の心地良さ 大山邸
日本人が心惹かれる憧れの空間
原風景から心象風景へ 湿り気のある空気感 鈴木邸
土の壁の表情に魅了されて十年
木々の間から零れる光が 自然な質感を 馬場邸
現代の庭を創る
解説 作庭家 高橋良仁 偶然ではない必然性
やわらかい光を 大山邸 埼玉県北葛飾郡栗橋町
日本人憧れの心象 鈴木邸 さいたま市岩槻区
自然な質感を生む 馬場邸 さいたま市岩槻区
作庭自論 庭の中での発見 高橋良仁
特集 春を彩る草花
文・豊藏 均 写真=(有)たかはし園芸+豊藏 均
2009年の出展作《庭を旅する》
木々と草花の柔らかさ
2008年の出展作《庭に暮らす》
豪快さと繊細さの競演・・・・優秀賞
2007年の出展作《自然へのあこがれ》
繊細な下草と垣根の扱い・・・・入賞
ガーデンショーに出展した初回から第四回目までを追って
草花に表れた繊細な感性
春を彩る草花
聞き書 真似るから始まった自由な発想 聞き手 豊藏 均
作る努力 知る努力 斉藤栄一
モノづくり考現学 第4回
未来を探る方法 文・写 真=藤田洋三
庭師 安諸定男の作庭技塾 4
洗い出しの「道」を創る
歩くたびに風合いが深まる庭の道
文=浦田 浩志/写真=富野 博則
寿徳寺の石畳を作る
榎本邸の道を作る
安諸親方のよもやま話し
サムライ庭師 ヨーロッパを往く パート4
比較できないこと 文=長崎剛志 写真=N−tree
日本風景紀行 4 桜と刀
文・写真=佐子 武
庭師道具図鑑 目地 鏝 文・写真 浦田浩志
数ある庭師道具の中でも、自分の手癖に合う目地鏝は、千差万別
自分に合う目地鏝は、経験を重ねると定まってくる 大胡周一郎
ニューウェーブ New Wave
記憶の奥にある光景 文・坂本拓也 写真=坂本拓也・佐藤由章
記憶の結び目
俺たちの作庭論 庭を創るのは何のため 坂本拓也
連載 この国の庭を創る 第4回
「人間の可能性」 河西 力
今さら聞けない作庭用語集 第4回 移植・石組時の職人言葉 内田 均
声VOICEの交歓室
緑の窓 掲示板
作庭に役立つ 本 BOOK
バックナンバー紹介
編集後記・次号の予告・奥付
発行:建築資料研究社